2011,10,29, Saturday
さて市町村合併はほぼ終わりましたが、「これから消防の広域化がすすんでいく」って話を今日はしてみたいと思います。
まあ、市町村合併がすすめば自動的に消防もある程度合併がすすむわけですが、広域災害時には従来のような管轄が細かく分かれた消防本部では機動性のある対応が出来ないこと、そして激甚災害時(特に被害の大きな災害)では消防本部自体が被災してしまい機能しなくなるなどの問題点が指摘されるようになりました。 鳥取県西部地震の経験をもつ鳥取県は、すでに東部、中部、西部の3消防本部へ統廃合をすませています。また消防無線のデジタル切り替えという多額の設備投資が必要な課題が迫っており、これは中小の消防本部では対応できるような金額ではないので、これにむけて合併を推進しているという側面もあるようです。東日本震災という超「広域」「激甚」災害の発生をうけ、これからさらに真剣に検討が進められるようになるでしょう。 現在の各県の「目標」なんですが、以下の通りとなっています。 2007年時 → 現在の目標 福岡県 (※現在25消防本部) 佐賀県 (※現在7消防本部) 長崎県 10消防本部 → 1消防本部 熊本県 13消防本部 → 4消防本部 大分県 14消防本部 → 1消防本部 宮崎県 9消防本部 → 1消防本部(または3消防本部) 鹿児島県 19消防本部 → 7消防本部 さて、ここからはさらに詳しい解説です。 ○福岡県 県が先頭に立って動くのではなく、各本部での動きを見守る考えのようです。すでに久留米市+県南広域の合併がすみましたが、現在は宗像+粕屋北+粕屋南の合併がすすめられています。 ○佐賀県 県は計画そのものを立てていません。しかし佐賀市が周辺市町村と共同して佐賀広域消防局をつくり、現在は、さらに佐賀広域と神埼地区の合併が考えられています。佐賀広域消防は、全国のモデルケースとして高く評価されているようです。 ○長崎県 長崎県の消防職員は、平均年齢が高く2009年時点で1673名の全消防職員中、50代以上が748名と45%を占めており、多くの本部でここ10年で職員の半数が正職員を退職する状況になっています。そのため危機感が強いようです。なお、これは長崎県に限ったことではなく、各県ともこれから退職ラッシュがつづく構図があります。そのため、早期に一元化して、人員配置をしやすくするネライもあるようです。 ○熊本県 統合後のモデル4本部の内訳は以下の通り。このなかでは城南ブロックの動きが先行しているようです。 城北 有明+山鹿植木+菊池+阿蘇 中央 熊本市+宇城+上益城+高遊南 城南 八代+水俣芦北+人吉下球磨+上球磨 天草 天草(そのままで統廃合なし) ○大分県 全県1本部を打ち上げたものの、一番の中心部にある大分市の反対があり、ちょっとストップしているようですね。 ○宮崎県 九州本土で唯一、常備消防がない区域が7町村ある県です。つまり消防署がなくて、消防団で対応しているということですね。いちおう全県1本部を目指していますが、3ブロック化も検討中のようです。その場合は 県北 延岡市+日向市+東児湯+現在消防署がない諸塚村、椎葉村、美郷町、高千穂町、日之影町、五ヶ瀬町 県央 宮崎市+西都市+現在消防署がない西米良村 県南 都城市+日南市+串間市+西諸広域 ちなみに宮崎県では救急救命士は、ほぼ目標数に達しつつあるようです。199名の配置目標に対して197名ということですのでほぼ目標達成。 あと、最遠現場到着時間というデータが出ていて、たとえば、(小林)本署~えびの高原が65分、(延岡)東海分署~上祝子122分とあります。出動要請してから、2時間もかかる地域があるんですね・・・。県域が広いだけあって大変です。 ○鹿児島県 7消防本部の区域わけは以下の通り。 鹿児島 鹿児島市+日置市+いちき串木野+現在消防署がない三島村、十島村 南薩 指宿+南薩 北薩 薩摩川内市+さつま町+阿久根+出水市 姶良・伊佐 姶良市+伊佐湧水+霧島市 大隅 大隅肝属+大隅曽於+垂水市 熊毛 熊毛(そのままで統廃合なし) 大島 大島+沖永良部+徳之島 |